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『解離性同一性障害』とは <その2>

「自分じゃなかったらいいのに」

精神的な苦痛から逃れるために、このように強く強く願う子供がいます。


「辛いのは"自分"じゃないんだ、"他人"なんだ」


自分じゃない、自分じゃないと自身に言い聞かせて、受ける苦痛を緩和しようとする手段を子供自ら作り上げるわけです。

"自分じゃない" そこには "他人" を置くわけです。自分よりも強くて、おりこうで、なんでも上手にできて…、そんな"他人"に代わってもらたいと強く思い描くようになります。

自分の身体の中にいる"他人"

それが後々「他人格」となっていくのが『解離性同一性障害』、すなわち多重人格の成り立ちです。


実際に、解離性同一性障害を抱えている人の大半が、子供の頃に虐待を受けていたことがあり、そして女性が半数以上の割合を占めているというデータがあります。もちろん、子供の精神的苦痛が虐待だけに限られるというわけではありませんが。


子供にとって "自分の身体の中にいる他人"
はとても便利な"人"となっていきます。辛いときにはこの"他人"が身代わりになってくれて、自分が苦手なことからもこの"他人"が上手くこなしてくれるようになります。大人のように自身で乗り越える
力が備わっていない子供にとって、こうして「自分の身体の中にいる"他人"」を強く描くことが苦痛から逃れられる方法として確立していくことになります。

自身が成長してくると、子供の頃よりも精神的な苦痛からから幾分乗り越えられるようになってきます。虐待も受けなくなってきているかもしれません。

しかし、

成長しているのは "自身" だけではありませんでした。"自身" の身代わりとなってきてくれた "自分の身体の中にいる他人" も実は成長していたのです。

「自分の身体の中にいる他人」、この"他人"が自身とは別の人格を持ってきます。これが『解離性同一性障害』です。

・自分自身→主人格
・別人格→他人格

といいます。

どういったシステムで「自分の身体の中にいる他人」が他人格となっていくのかは、脳科学的にも解明されていません。

他人格は、主人格の「理想」として描かれてきた他人"であるため、

・性格が正反対
・主人格が持っていない特技を持っている

などという特徴があったりすることが多く、主人格が女性の場合は特に男性の他人格が大半であったり、スポーツが苦手な主人格にはスポーツが得意な他人格がいたりすることがよくあるようです。

しかし、いくら「理想」を描いた身代わりといえども、受ける苦痛は同じなわけです。身代わりとなっていた他人格でも苦痛に耐えられなくなることがあります。そうなってしまったとき、その他人格はさらに身代わりを生み出し、苦痛から脱しようとします。これが、人格が多重化する原因です。

多重人格という言葉と同様に「二重人格」という言葉がありますが、解離性同一性障害の多くは、複数の他人格を抱えている人が大半だと言われており、それは上記の理由からだとされています。<つづく>