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『解離性同一性障害』とは <その1>

ひとことでいえば

「多重人格」

と言われているものです。


『解離』という言葉が付いていますが、他にも

・解離性健忘
・解離性頓走

といった症状などもあります。

「症状」と書きましたが、実は『解離』というものは健康的な人間でも誰もに備わっています。

よくある話としては、「ショックな話を聞いて気を失ってしまった」というもので、これも『解離』の症状とされています。

人間の脳には身を守るための「防衛本能」が備わっています。痛みや熱さを感じると、意思とは関係なく反射的に手や足を引っ込めたりしますね。また、恐怖を感じたときに身体の表面温度が下がったりしますが、これは一番大事な心臓を守るために、脳が身体中の血液を心臓に集める指令を出しているからだそうです。

人間が受けるダメージは痛みなど体感的なものだけではありません。精神的にダメージを受けることもあるわけです。さきほど述べたように、ショックな話を聞いて精神的に耐えられない状況というものもあります。このときに脳は一時的に気を失わせ、大きく乱れた精神状態を落ち着かせるという防衛を行います。これを『解離』といいます。

精神的に受けたダメージというものは、そう簡単には癒せないものですね。耐えて乗り越えていくというのが試練となるのでしょうが、受けるダメージの大きさは人それぞれです。少しずつ積み重なってきたものが、ある日とつぜん爆発してしまうという場合もあります。

どうしても耐えられない記憶から解離することもあります。これを『解離性健忘』といいます。記憶喪失の一種ですが全ての記憶を失うものではなく、辛いこと、その辛さに関係する事柄や人間など、一部の記憶から脳がシャットアウトし、精神状態を維持しようとする防衛本能です。

しかし、精神的な苦痛というものは、一時的もしくは一部の記憶を封印するだけで逃れられるものだけではありません。継続的に襲ってくる苦痛もあるわけです。もしそのようなとき、あなただったらどうしますか?人間関係のこと、仕事関係のこと、家族のこと、酒を飲んで気持ちを解放しますか?誰かに話を聞いてもらって気持ちを解放しますか?人によっては、人間関係を全て断ち切って遠くへ引っ越し、そして気持ちを一新させるという人もいたりしますが、こうして継続的に襲ってくる精神的な苦痛から人はどうにかして解放しようとするわけです。

しかし、それはあくまでも「大人」の話。もしこれが小さな子供だとしたらどうでしょうか?

大人と同じように苦痛から解放しきれるでしょうか?
「酒を飲んで」というわけにはいきません。

「誰かに話を聞いてもらう」、

子供が自分の気持ちをうまく伝えられるでしょうか?

「人間関係を断ち切って遠くへ」、

子供には不可能です。


あなただったらどうしますか?

耐えられない精神的な苦痛、


「これが自分じゃなかったらいいのに」


と思ったことはありますか?

「どうして自分にばかり辛いことが起こるの?」
「誰かに自分と代わってほしい」

いま自分が受けている耐え難い苦痛を、自分ではなく他の人が身代わりになってくれたら、もしくは、誰かが自分と入れ代わって解決してくれたら、もし本当にそれが実現できたら苦痛から逃れることができそうですが、もちろん現実的でありません。

しかし、自分の力で解決する力をもっていない子供によっては、これらのことを真剣に願おうとするのです。これが、

解離性同一性障害

のきっかけとなってきたりします。 <つづく>